村川ヴァイオリン工房

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2015年 03月 31日

バイオリンデザイン

先週は工房を休んで遊んでいたわけではなく、バイオリンデザインの勉強に行っていました。

早速、帰って来てから色々やってました↓
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バイオリンを作るときに、多くの製作者はストラドやガルネリなどの過去の銘器のデザインをコピーして作っていると思います。
また、オリジナルモデルを作っているとしても、ベースに何らかの過去の銘器を参考にしたりしているでしょう。
フルコピーで作るなら、本物のストラドの内枠だったり楽器だったりが手元にあり、そこから型を起せれば一番いいですが、なかなかそんな環境の製作者はいないと思います。

そこで多くの製作者は原寸のポスターや写真集をコピー機してそこから内枠のデザインを作っています。自分も例外ではありません。

ですが、色々問題点もあります。



ストラドの本物(コピーしたい楽器)

↓ 歪み

ポスター、写真集

↓ 歪み

コピー機

↓ 歪み

形の修正

↓ 歪み

内枠のベースになる型

↓ 歪み

内枠完成。

そしてその完成した内枠も自分の想像によるデザイン部分もある。(特にコーナー部分)

むむむ・・・・

ということで、ストラドの内枠自体のデザイン法を復活させてやるぜっ!!と奮起した賢い人がこちら↓
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François Denis 氏


Originaire d’Angers, François Denis a étudié les sciences à l’université et la musique au conservatoire, mais c’est en autodidacte qu’il a abordé l’histoire de l’art et la lutherie. Installé comme luthier depuis 1983, il a fabriqué une grande variété d’instruments avant de se spécialiser dans la lutherie du quatuor.

Sa formation plurielle l’a conduit à questionner certains fondements de sa profession demeurés obscurs. En 2006, la publication du Traité de Lutherie fait la lumière sur l’histoire des procédés géométriques à l’origine de la forme du violon. L’ouvrage situe les dimensions des instruments de musique dans le contexte d’un art de la mesure dont les traces se perdent à l’approche de la modernité.
François Denis exerce une activité de conférencier et intervient comme formateur dans diverses écoles de Lutherie. En 2000, le prix Musicora lui a été décerné pour ses recherches.



フランスで活動している弦楽器製作者で現在のバイオリンデザイン研究の第一人者です。2006年に、デザイン研究の集大成を「Traité de Lutherie 」として発表し、
以来、バイオリンデザインのバイブルとなっています。 
彼のデザインシステムを支持する、しないは別として、自分でデザインを考えていくうえで必ず役に立つ本ででしょう。
そして、そのデザインシステムもそうですが、一番重要な部分は当時のデザインの概念の部分に着目したところだと思います。




日本でワークショップをやるとのことで参加してきました。
すごく勉強になりました。初めてイタリアに行った時と同じくらいの衝撃でした。
何よりも、デザインに対する根本的な考え方自体を変えさせられました。

そして、肝心のデザイン方法もシンプルかつ実用的でした。
 過去にも数多のデザイン方法がありましたが、なんだかつじつま合わせ的な部分が多かったり、都合のいい解釈が多かったり、複雑すぎてそんなことやっていたとは到底思えなかったりと怪しいものばかりでした。

興味のある方は本を買って読んだらいいと思います。  Denis 氏のHPに製図の動画が乗ってます。こちらにリンクしてあります。
僕も、もちろん買いました↓

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サインしてくれました↓
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あと、お土産に彼が実物のストラド内枠から写したデータも頂きました↓
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線が二重になっているのは、表側、裏側の両方の線が書いてあるからです。

こちらはストラドの内枠が沢山乗っている写真集↓(お土産ではありません)
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この写真集は歪んでないのか気になっていたので重ねて見ることに↓
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・・・結構ぴったりです。



まとめ

Denis 氏の考えたというか、復活させたデザインのシステムを使うと アマティやストラドのオリジナルの型をデザインするだけではなく、 その時代のシステム(16世紀〜18世紀にかけて使われていたデザイン法、製図法)に沿ったオリジナルモデルの設計もできると思います。
そして、自分の楽器はもちろん、他の楽器を見る時も、今までとは違った角度から見ることができるでしょう。

結局、写真集に載ってる内枠が書き出されるなら、最初からそれを使えばいいとも思いますが、
科学万能のこの時代に、わざわざ手作りでバイオリン作ってるのだから、こんな所にこだわるのもいいと思います。


※ストラドの時代の製作方法は現在の製作手順とは違うので、内枠をコピーしたからといって出来上がる楽器がそっくりになるという訳ではありません。
あくまで内枠の形を再現するということです。
※写真から起こした楽器がダメという訳ではありません。どちらの方法で製作してもダメなやつはダメで、良い物は良いし、出てくる音にはあんまり関係ないです。


村川ヴァイオリン工房http://murakawa-strings.com
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by murakawa-strings | 2015-03-31 00:16 | 製作・修理


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