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日本の名匠シリーズ ~和刃物編~ その2

今日、ご紹介するのはこちらです↓
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二代目”市弘”作 外丸鑿   ※たしか三代目で廃業しています。

ここまでくると、もはや芸術品ですね。 製品としての仕上げ、切れ味どちらもすばらしいです。
使う側の職人にも好みがあります。
個人的にはちゃんとした刃物ならばどこの鍛冶屋のものだろうがよく切れます。そして研ぎたての状態ではそんなに大差がないようにも思います。好みが分かれるのは、使用している最中にどう切れ味が落ちていくのか、
たとえば感覚的に言えば刃先が丸くなっていって切れなくなる感覚や、
刃先が細かく欠けて切れなくなっていく感覚など、使用されている鋼の種類や焼き入れ、焼鈍しの仕方によって鍛冶屋ごとに特徴があります。その辺が好みとして分かれる所だと思います。

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切れ味もさることながら、面取りや首の仕上げがすばらしいです。 ”道具”としての面だけではなく、こだわりを感じます。鑿としての機能にはかかわりのない部分まで繊細に仕上げてあります。
千代鶴是秀作 「天爵」を彷彿させます。

刻印もかわいいですね↓
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偽物も多いらしいですね。 市弘の特徴の一つとして美しい”クロカワ”があげられます。いわゆる、酸化皮膜のことですね。 少し青みがかった漆黒の酸化皮膜に包まれています。 
だいぶ前に聞いた話なので忘れてしまいましたが、たしか、焼入れ前に砂だか砂鉄だかで表面を磨いているそうです。

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切れ味は、系統的には”清忠”などに少し似ている感じだと思います。清忠をワイルドとするならば、もう少し上品で洗練された感じです。
鋼は、おそらく日立の白紙一号ではないかと推測されます。
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裏側も抜かりなく仕上げてあります。
この鑿は外丸鑿ということもあり、ヴァイオリン製作ではあまり使用頻度が高くないため長さも十分に残っています。 近代の鑿は首根元部分まで鋼がまわしてあるため、一応根元付近まで使えないこともありませんが、
実際には穂の部分の三分の二までが使用する部分といわれています。今よりも鋼が高価とされていた時代は無駄に材料を使うことはできないので、実際に使用する三分の二程度の所までしか鋼を鍛接していませんでした。江戸時代以前の鑿などはそういったものが多いようです。よく切れる鑿ほどよく使われ、よく研がれてしまうので、現代に残っている名工たちの鑿はちびた物が多いです。
例外としては、千代鶴是秀は現役当時から神格化されていたため、手に入れた大工さんも使わずに神棚に飾っていたりと、コレクターアイテムとして扱われていた面もあり、比較的に綺麗な状態で現存しているものが多いです。
市弘自体も千代鶴是秀を非常に意識していたようです。


次回は マニアックに 幻の鋼 ” 東郷鋼 ”の鉋などどうでしょうかね。




仕事もしてますよ↓
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お客さんのチェロの駒交換などしてました。
安価な量産品なのですが、ラーメン屋さんに置いてある巨大な”将棋の駒”のような駒が付いていました。
材料も悪いので、もちろん交換します。

安価な量産品の楽器でも駒や魂柱を上質な物に交換して、しっかり調整すればそれなりによい音もでます。


村川ヴァイオリン工房http://murakawa-strings.com
by murakawa-strings | 2013-07-28 18:32 | 関係ない話

新着情報、作業記録、その他無関係の情報など。


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